RIZINバラさんを叩くのが不毛な理由 堀口恭司と榊原信行の「共存関係」

「堀口恭司がケガで欠場するかも知れない!」という真偽不明なニュースがファンを騒がせています(動画なども出回っていますが公式なアナウンスがないので真偽不明と表記します)。僕は格闘家でもなければ医者でもないので、堀口が本当にケガをしているのか、どの程度のケガなのか、大晦日に出れそうなのかについては言及できません。

こんなにファンに心配される堀口恭司というファイターは、ある意味幸せ者だと思います。その一方、RIZINのCEOである「バラさん」こと榊原信行氏に対する批判が決して少なくないのが気になりました。

「バラさんが堀口に無理をさせたせいでケガをした」

「バラさんは堀口を酷使しすぎ」

「堀口がバラさんに壊されちゃう」

僕はよくツイッターで格闘技についての情報収集をしているんですが、上記のようなツイートが目につきました。堀口恭司は被害者、バラさんは加害者といった図式で見ている人が多いような印象を持ちました。

仮に堀口のケガが事実だとしても、その責任をバラさんに背負わせるのはどうなんだろう?と個人的には考えています。

堀口はプロの格闘家です。ケガが事実だとするならば、その責任はまず第一に堀口本人にあると考えています(交通事故など特殊な場合を除いて)。これは決して極端な発想ではないと思います。基本的にケガが自己責任であるからこそ、ケガによる欠場では、基本的にファイトマネーは1円も支払われません。

堀口は本当に素晴らしい格闘家であり、僕も尊敬に値すると思っています。だからこそ、もしもケガをしたのであれば、プロフェッショナルである以上、本人の責任が最も大きいと思っています。

「バラさんは堀口を酷使しすぎ」 というのは、最近の堀口の試合数が多かったことから生まれた発想だと思います。たしかに、横浜アリーナでベン・ウィンと試合したり、ベラトールに乗り込んでダリオン・コールドウェルからベルトを奪ったりと、最近の堀口は連戦を重ねていました。

しかし、連戦というのは決して悪いことばかりではないと思います。基本的に、数多く試合をすればその分ファイトマネーは入ってきます。堀口はもう29歳です。総合格闘技の選手としては決して若くはありません。まだなんとか無理がききそうな年齢で試合を重ね、格闘家としての実績を積み、多くのお金を稼ぐというのは、個人事業主である格闘家にとって悪い話ではあるワケがありません。

そもそも堀口がUFCを離脱してRIZINにやってきた背景のひとつには、堀口のいたUFCのフライ級はあまり人気がなく、その影響もあってかあまり試合を組んでもらえないという事情がありました。試合数が多いというのは、堀口本人の希望でもあったわけです。

それにしても、最近の堀口は試合をしすぎだったかも知れません。しかし、バラさんがオファーを出したとしても、堀口にはそれを断ることも出来たハズです。実際、8月の朝倉海との試合は堀口はいちど断っています。

バラさんがうまく言いくるめたのだとしても、堀口だって大人なのですから、本当にそのオファーが危険だったり価値を感じることが出来なければ断っていたと思います。最終的な決定権は、あくまでも堀口本人にあったのです。

バラさんと堀口は決して主人と奴隷のような関係ではありません。本当に堀口がRIZINやバラさんに嫌気が差していれば、UFCに戻るなり、ONEに移籍するなり出来たハズです。ふたりの間にある程度の信頼関係があったからこそ、堀口はRIZINで闘い続けたのだと思っています。

バラさんは興行の目玉として堀口の試合が欲しい。堀口は自身のキャリアと生活のためにも試合をしたい。ふたりの利益は決して相反するものではありません。

榊原信行と堀口恭司、このふたりは決して主従関係にあるワケではなく、一種の共存関係にあるのだと思います。その共存関係が生み出した美しき果実こそ、RIZINとベラトールの二冠達成という快挙でした。

バラさんはPRIDE時代に黒い交際が問題になったりして、悪イメージを持たれやすい人だと思います。選手に対して強い口調で文句を言ったりすることもあるので、高圧的な印象があるのかも知れません。

僕も、バラさんが自分の上司だったりしたらちょっとイヤです(笑)。

過去の黒い交際の件については、間違いなくバラさんの落ち度です。これは決して批判を免れようがない点だと思っています。

しかし、バラさんにはファイトマネーの未払いなど「プロモーターあるある」な悪い噂は聞きません。こんな言い方はおかしいですが、日本国内では「かなりマシなプロモーター」だと思っています。ボブ・サップにファイトマネーの件で告発された某プロモーターなんて、新しくプロデュースした格闘技イベントでまた未払いを起こしちゃいましたからね‥。

堀口のケガが事実だとしたら、最近の連戦の影響は間違いなくあったと思います。そして、プロモーターであるバラさんにも、その責任の一端はあるかも知れません。しかし、あくまで一端に過ぎません。

堀口はバラさんという優秀なプロモーターの手腕があったからこそ、格闘家としての評価を高めることが出来ました。個人的な意見ですが、堀口がバラさんというプロモーターから享受してきたメリットは、今回のケガ疑惑の件を差し引いても間違いなくプラスだったハズです。

僕は堀口恭司という稀有な格闘家と榊原信行という「かなりマシなプロモーター」の二人三脚の闘いをもうしばらく見ていたいと思っています。

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