「どこでも昇侍」には長州力の言葉を贈りたい

RIZIN.30からもう1週間以上経ってるんですね。

個人的にはなかなか満足度の高い大会だったので、まだあの余韻が少し残っているような感じです。

今さらRIZIN.30のことをブログに書くのかよって感じなんですが、これは有料のコンテンツというワケでもないのでまあ気楽に書かせてください笑。

別に大会の総括みたいなのをするつもりはサラサラなくて、個人的にあの大会でいちばん感動した試合について書きたいんです。

それは、昇侍vs鈴木千裕です。

皆さんご存知の通り、あの試合は昇侍が大ぶりになった鈴木の打撃を見切って強烈なカウンターを見舞い、衝撃的なKO勝ちを納めました。

この試合、個人的には、けっこう昇侍が危ないと思っていたんですよね。

完全にピークは過ぎていますし、打撃を得意とする鈴木に付き合ってしまい、やられてしまうと思っていました。

しかし、見事に勝ってみせましたね。

勝利後のインタビューを聞いているうちに、目頭が熱くなってしまう自分がいました。

まさか「どこでも昇侍」に感動する時が来るとは!

昇侍のあの勝利は、総合格闘技という過酷な競技にしがみついていた男が報われた瞬間だと思うんですよね。

パンクラスで王者になったものの、決して大きくブレイクすることはなく、いちどは格闘技の世界から去りました。

当時も日本人相手に無双していたアルトゥール・ウマハノフに勝利したりと成果は残していたのですが、格闘技業界全体が厳しい時代でした。

格闘家を引退したあとはラーメン屋さんで修行をされていたそうです。そのおかげで、今でもラーメンは美味しく作れるとか笑。

しかし、昇侍はその厳しい世界にまた戻ってきました。

それ程までに総合格闘技という競技を愛していたし、やはり自分は総合格闘家でありたいと思っていたのでしょう。

復帰してからも、決して連戦連勝というワケではありませんでした。

主戦場であるDEEPで元UFCファイターである水垣偉弥と対戦して敗北。

大抜擢されたRIZINという大舞台でも朝倉海の強打の前に沈みました。

今年のDEEP20周年大会では元谷友貴の前に完敗を喫し、さすがの昇侍もここまでかと思われました。

そんな昇侍がまたRIZINのリングに上がり、キックとMMAの二刀流で圧倒的な強さを見せつける新進気鋭の鈴木千裕と対戦するワケです。

「期待の若手がロートルを下してスター候補になる」という図式をすぐに思い描いてしまった人も少なくないでしょう。

しかし、昇侍はそんな予想を見事に覆してみせました。

昇侍がこの勝利をきっかけに連勝街道を突っ走るということはないでしょう。総合格闘技の世界はそんなに甘いものではないと思います。

これからも勝ち負けを繰り返す厳しい格闘家人生を送り、やがて引退していくハズです。

しかし、あの勝利は昇侍の人生における大きな輝きとなることは間違いありません。

大舞台であのような劇的な勝利を挙げることの出来る格闘家がどれだけいるのか。

少しでも格闘技業界のことを知っている方ならよくご存じだと思います。

ブレイク前の長州力が当時スーパースターだった藤波辰爾に勝利した時、こんな言葉を残しています。
「俺の人生にも一度くらい、こんなことがあってもいいだろう」

昇侍のあの勝利には、まさにこの長州力の言葉がぴったりではないでしょうか。
総合格闘技という過酷な競技にしがみついてきた男の人生にあのような劇的な勝利が訪れたという事実。

それに勇気をもらったファンは少なくないのではないでしょうか。

もちろん、僕もその1人です。

やっぱり、格闘技は最高ですね。

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