海人 「SBの最高傑作」が秘める無限の可能性

伝説的なキックボクサーでもあったシーザー武志によって創設された「シュートボクシング」という立ち技競技がある。

K-1などと違い、投げ技や立ちでの関節技が認められるなどの特徴はあるが、大まかなくくりではキックボクシングのひとつということになる。

大江慎、吉鷹弘、村浜武洋、アンディ・サワー、宍戸大樹、鈴木博昭、RENAといった著名な選手を数多く輩出していることでも知られる。K-1 WORLD MAXやRIZINといった地上波生放送のあるような大規模なプロモーションに参戦した選手も少なくない。

そのシュートボクシングでいまもっとも期待されているのが「シュートボクシング(SB)の最高傑作」の異名を持つ海人(かいと)だ。

身長180センチという恵まれた肉体の持ち主であり、現在まだ22歳でありながら、 39戦33勝(17KO)5敗1無効試合 という素晴らしい戦績を誇る。モデルのような端正なルックスの持ち主である。

僕はこの海人こそ、武尊、那須川天心には出来ない偉業を成し遂げるられるのではないかと思っている。

それは「立ち技と総合格闘技の両方で世界的にその名をとどろかす」ということだ。

武尊も天心も素晴らしいキックボクサーだが、いかんせん身体が大きくない。どうしても軽量級戦線での活躍に留まってしまう。これは本人の努力ではなかなか変えられない。

そして、軽量級の選手ではどうしても活躍はアジア圏に限定されてしまう傾向がある。事実、キック部門を持つベラトールには天心のようなビッグネームの軽量級選手と釣り合うような選手が見当たらない。

海人は体格の面において、武尊や那須川天心といったキックボクサーよりも世界に進出しやすい要素を持っている。

そして、海人は総合格闘技の世界においても十分に通用するポテンシャルを持っていると考えている。

前述のように、シュートボクシングでは投げ技や関節技が認められている。つまり、総合格闘技に近い部分がある。創立者のシーザー武志は修斗の生みの親である佐山聡と親交が深かった。シュートボクシングのルールには佐山聡の影響があるともいわれている。シュートボクシングは、生まれた時からバーリトゥード的な色合いを帯びていた。

そんなシュートボクシングから、 村浜武洋、 鈴木博昭、RENAのように総合格闘技でも成果をあげる選手が出てくるのは、決して不自然なことではなかった。 シュートボクシングは、立ち技競技の中で最も総合格闘技に適応しやすい競技だと思っている。

そして、海人はそんな彼らを上回る活躍をみせてくれる可能性を秘めている。

海人は恵まれた肉体を持っている。先にあげた3人のシュートボクサーよりも体格的には勝っているといっても過言ではない。

いま流行りのカーフキックをいち早く実戦で使いこなすような器用さも兼ね備えている。どんな強敵にも臆することなく立ち向かっていけるメンタルの強さもある。

そして、彼はいちどもKO負けを喫していない。彼の階級になれば、相手の打撃も非常に強い破壊力を持つ。そんな戦場においてKO負けの経験がないというのは、彼の打たれ強さ、ディフェンスの上手さを証明していると思う。総合格闘技の薄いグローブによる攻撃にも、海人なら耐えらえるのではないだろうか。

シュートボクシングはエース格の選手であっても、積極的に他団体へ出場させる傾向がある。海人もRIZINをはじめとする他団体のリングでキックボクシングの試合を行った経験がある(総合格闘技の試合はない)。

もしも彼が総合格闘技に進出することになれば、中量級のMMA日本人ファイターを欲しているRIZINは間違いなく興味を示すハズだ。RIZINと提携しているベラトールも食指を動かすかも知れない。

性別も階級も違うのでどれくらい参考になるかは分からないが、RENAはRIZINとベラトールの両方で総合格闘技の試合をしている。同じような道を海人が歩める可能性は十分にある。

もしかしたら、近い将来「シュートボクシングの最高傑作」と呼ばれる男がマディソンスクエアガーデン(MSG)に設けられたケージの中で総合格闘技の試合をする日が来るかも知れない。

僕は格闘家でもなければ、業界の関係者でもない。大したことのない自分の考えが願望を無責任に文章にしているだけだ。ここに書いたことがひとりの素人の幻想で終わってしまう可能性だって十分にある。

しかし、海人という若きシュートボクサーはそんな幻想をド素人にも抱かせてしまうほどの選手なのだ。そんな選手がまさに全盛期を迎えようとしている。彼はいったいどんな道を歩んでいくのか。僕たちは彼から目を離すことが出来ない。

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