令和の時代に実現した純粋な「異種格闘技戦」

9月27日に開催される「RIZIN.24」の追加対戦カードが発表されましたね。その中で注目されたのはやはり、スダリオ剛vs.ディラン・ジェイムスの一戦でしょう。

スダリオ剛は「貴ノ富士」の四股名で知られる元大相撲力士です。暴行事件を起こして角界を去ったということで覚えている方も多いでしょう。少し前から「総合格闘技に挑戦したい」という意向を表明しており、その動向が注目されていましたが、早い段階でのRIZIN参戦となりましたね。現在はエンセン井上さんのところでトレーニングをしているようです。

たいするディラン・ジェイムスはニュージーランド出身のプロレスラーで、ゼロワンや全日本プロレスといった団体で活躍してきました。全日の至宝である三冠ヘビー級王座に挑戦したこともあり、プロレス・ファンのあいだでは比較的よく知られた存在だと思います。僕も生で何度か試合を観たことがありますが、実際の身長以上に巨大さを感じる迫力満点のレスラーです。

MMAファンからはあまり評判のよろしくないこの一戦ですが笑、個人的には久しぶりにこういう試合もいいんじゃないかなと思っています。

この試合はスダリオ剛を総合格闘家としてプッシュするために組まれたと思うのですが、結果としてこの令和の時代に純粋な「異種格闘技戦」が実現することになったなと思います。

今までも力士が総合格闘技に挑戦することはありましたし、逆にプロレスラーが挑戦することもありました。しかし、今回のようにMMA初挑戦の元力士とプロレスラーが激突するということはあまり例がなかったような気がします。

たとえば、RIZINで総合格闘技デビューを果たした大砂嵐の相手はボブ・サップでした。永田裕志の場合はミルコ・クロコップでした。当時のミルコは決しての経験豊富とはいえないキャリアでしたが、藤田和之や高田延彦と対戦しており、MMAでは一日の長がありました。

今回はどちらもMMA初挑戦であり、過去の戦績や試合の内容から勝敗予想をすることが出来ません。どちらも若い選手なので、年齢で優劣をつけることも出来ません。「大相撲vsプロレス」という純粋な異種格闘技戦が実現したワケです。

最近は格闘家の方がYouTubeで試合予想をしていますが、この試合の試合予想はけっこう苦労されるんじゃないかなと思います。

異種格闘技戦というフレーズは、最近あまり耳にすることがなくなりました。MMAの技術は昔とは比べものにならないほど高くなり、MMAのジムも多くなりました。バックボーンとなる競技で好成績をおさめていたからといって通用するような世界ではなくなったのです。

最近のMMAの主流は完全に「総合格闘家vs.総合格闘家」であり、異種格闘技戦というものの存在がほとんど消えかかっていたと思います。

このスダリオ剛vsディラン・ジェイムスは、すっかり懐かしい存在になってしまった異種格闘技戦を令和に蘇らせてくれました。

もちろん、それを総合格闘技への侮辱だととらえる人もいるでしょう。

しかし、UFCやONEといった強大な黒船との差別化を図るためにも、こういう仕掛けもいいじゃないかなと個人的には思っています。

茶化すワケではありませんが、多様性という概念が重視されはじめた今の時代、こういう試合があってもいいじゃないですか。

Follow me!