コロナで暴かれた格闘技ビジネスの難しさ

世界中にすさまじい影響を与えているコロナ・ウイルス。その影響は格闘技業界にも及び、いつくものプロモーションが苦境に立たされています。

RIZINは2月の浜松大会こそ開催できたものの、その後の横浜大会は中止にせざるを得なくなりました。そして、今後の大会スケジュールはまだ発表されていません。榊原代表が近いうちに会見を行うようなので、それを見守るしかありませんね。

UFCはもともとPPVが収益の柱となっている団体なので、無観客試合をバンバン開催し、どうやら採算も取れているようです。
しかし、それはUFCという誰もが認める世界一の団体だからこそ可能なことであり、よそが真似しようとしても簡単に出来ることではありません。

修斗の大阪大会はお客さんを入れて開催するようですが、感染防止策の一環として観客数を減らして実施されるとのことです。当然、その分の興行収入は減ってしまいます。

今回のコロナ騒動で、格闘技ビジネスの難しさが浮き彫りになったと思っています。

屋内で開催される大会がほとんどなので、どうしても「感染しやすい」と思われてしまいます。屋内の空間でお客さんが大きな声で選手に声援を送っている様子は、コロナに敏感な人たちにとっては恐怖に近いものがあるのかも知れません。

特に日本の場合はPPVの文化が根づいていないこともあり、ゲート収入が大きなウエイトを占めていると考えています。つまり、そう簡単に無観客試合を行うことも出来ないということです。AbemaTVの協力で修斗は無観客試合を行いましたが、観客が入らない分だけ収益は減ったと考えるのが自然です。

野球やサッカーに比べると大きなスポンサーもついていませんし、経営基盤が盤石なところはUFC以外あまり見当たりません。安定した大企業はほとんどなく、零細な中小企業が多くを占めているような業界だと思っています。

格闘家の収入は一部の超人気選手を除いてあまり高くないので、それほど十分な貯蓄もなく、試合が出来なくなることで生活が苦しくなっている人は少なくないでしょう。

他に仕事をしている選手がほとんどでしょうが、その仕事が「ジムのトレーナー」だったりすると、コロナの影響でジムが休業したりすれば収入減が絶たれてしまいます。今は再開しているジムも多く、トレーナーの仕事をしている選手の皆さんはひと安心というところではないでしょうか。

いくつかのジムが存続のためのクラウンドファンディングを行っています。やはりジムという密閉空間でトレーニングを行うことに恐怖を感じて退会してしまうお客さんが多いのかなと思います。

ジムというのは格闘家の拠点ですし、トレーナーなどを行って副収入を得る場でもあります。そのジムの経営が苦しくなっているというのは、業界全体の危機につながるのではないでしょうか。

格闘技業界というのは、ひとことで言ってしまえば「極めてコロナに弱い業界」だったのだと思います。

悲観的なことばかり書いてしまいましたが、希望がないワケではありません。

長南亮は自身が運営するジムの名前を冠した大会を無観客で開催しましたし、北岡悟も同じようなかたちの大会を7月31日に開催します。どちらもPPVやスポンサー料が収入源となります。「UFCでなければ難しい」とされていることに挑戦する人たちもいるワケです。
https://gonkaku.jp/articles/3942

既存のプロモーションに頼ることなく、コロナの時代であっても主体的に生き延びようとする姿勢は注目すべきだと思います。こうなると、逆に既存のプロモーションの存在意義が問われてくることにもなります。

コロナ後の格闘技業界がどうなっているのか、色んな意味で目が離せません。

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