「リスクしかない」存在だった朝倉未来

浜松で開催された「RIZIN.21」を現地観戦してきました。なんだかんだ言われながら、やっぱりRIZINは面白かったですね。

メインの朝倉未来ありきの大会で、地方開催ということもあり客入りどうなんだろうと変な心配をしていたんですが笑、満員とはいかないまでも、しっかりお客さんが入っていました(ブログの写真は大会開始前の状態です)。

朝倉兄弟の大ブレイクのせいか、以前より若いお客さん増えているような感じもしました。

メインでは朝倉未来がメキシコのダニエル・サラス相手にしっかりとKO勝利をおさめ、大会の主役としての責任を果たしてみせました。ここ最近の3試合はいずれも判定決着だったので、久しぶりに未来のフィニッシュを見ることが出来てよかったです。

試合終了後にKRAZY BEE所属の朴光哲(ばく・こうてつ)がリングにあがり、未来に4月の横浜大会での対戦を要求。未来とRIZIN代表の榊原さんもその場で了承し、2人の対戦が決定しました(現時点でRIZINから正式発表はまだされていませんが)。

朴光哲は未来と舌戦を繰り広げ、試合では判定負けを喫した矢地祐介のジムの先輩でもあります。未来が「 KRAZY BEEの奴らも負けてばっかりじゃないですか」と口にしたこともあり、未来と KRAZY BEE のあいだに対立関係を見出すファンもいると思います。

この朴光哲の対戦要求に対し、会場からは「やらなくていいよ!」みたいな声が飛びました。大会終了後のSNSでも「未来になんのメリットもないから断っていい」「未来には海外の強豪とかと試合をして欲しい」という意見が出ていました。

朴光哲は元ONE Championshipのライト級王者なんですが、現在は3連敗中なんですよね。RIZINのリングで対戦要求をしたということは、たぶんONEからリリースされたんじゃないかと推測します。たしかに、RIZINで7連勝中の未来にとって対戦するメリットはないかも知れませんね。

しかし、朝倉未来はこの2年足らずのあいだに本当に大出世を遂げたと思います。僕は朝倉未来が「RIZIN.12」でRIZINデビューを果たしたとき、たまたま生観戦していました。

未来は対戦相手の日沖発を1RでKOしてしまうんですが、この時の未来の知名度は今とは比べ物にならないぐらいに低く、日沖発に勝利したことも大番狂わせのような扱いでした。

この時の未来は試合後のマイクで対戦相手の日沖発に対し「リスクしかない僕との試合を受けてくれてありがとうございます」と言ってるんですよね。

当時の未来って、そういう立ち位置だったんですよ。大物の格闘家にしてみれば、勝って当たり前の選手で、負けたら自身の評価を落としてしまうような選手‥。まさに「リスクしかない」対戦相手だったんです。

そんな未来があっという間に格闘家として国内トップにまで登りつめ、ついにファンから 朴光哲との試合について「未来になんのメリットもないから断っていい」 とまで言われる存在になったんですよね!

完全に立場が逆転している。

率直に、朝倉未来すげえなとしか言えません笑。

最近の総合格闘技は本当に流れが速くて、ちょっと目を離していると、すぐに勢力図が変わってしまうような印象があります。

未来の弟の朝倉海も堀口恭司・佐々木憂流迦という元UFCファイター2人を立て続けに粉砕した頃は「デメトリアス・ジョンソンにも勝てる!」というような意見もありましたが、大晦日にマネル・ケイプにKO負けしてからは、そういった意見はぐっと減ってしまったような印象です‥。

少し前の戦績や戦前の予想も、どこまで信頼していいのか分からなくなりました。あれほど関係者からの評価が高く、UFC参戦も果たし、戦前には「バンタム級では日本人最強」とまでいわれていた金原正徳ですが、ビクター・ヘンリーの前にKO負けを喫してしまい、引退を表明しました。

時の流れは平等ですが、ある者にとっては凄まじい上昇気流となり、ある者にとってはあまりにも過酷な激流となるようです。

こんなことを言うと怒られるかも知れませんが、未来だっていつまでも時の流れを味方につけられるワケではありません。それほどまでに、彼の生きている世界は過酷です。

そんな過酷な総合格闘技の世界だからこそ、目を逸らすことなく、思い入れのある選手の闘う姿を目に焼きつけていたいなと思っています。でないと、あっという間にその選手の闘う姿を観れなくなってしまうかも知れません‥。

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