朝倉兄弟がRIZINに金の雨を降らせる日

堀口恭司vs朝倉海、8月18日に起きたあのジャイアント・キリング。僕はその現場に居合わせていました。

朝倉海のカウンターが堀口恭司の顔面をとらえ、堀口が崩れ落ちた瞬間、愛知県体育館はすさまじい悲鳴と歓声に包まれました。
あんな光景、これからの人生で何回も目にすることはないと思います。

『とんでもない試合を見てしまった』それが会場を後にした僕の素直な感想でした。
一体なにが起こったのか、まだ理解しきれていませんでした。

あの堀口が敗れるなんて‥。
UFCでタイトルマッチにまでたどり着き、RIZINでは元谷友貴、石渡伸太郎、扇久保博正といった強豪をも下し、キックボクシングルールで那須川天心と3Rにわたる激闘を繰り広げた堀口がKOされてしまった。
これはとんでもない騒ぎになると思いました。そして、その予感は的中しました。

このブログを書いている現在、格闘技界は朝倉兄弟(兄:朝倉未来 弟:朝倉海)の話題で持ちきりです。
それだけのインパクトをあの試合は与えてくれました。

 

 

看板選手である堀口が倒されたことは、RIZINにとって痛手だと考える人もいるようです。
堀口敗戦の余波は大きかったと思います。海は勝利したことで、堀口の持つRIZINのバンタム級王座に挑戦する権利を手にしました。
いわゆる「バンタム級四天王」を一気にゴボウ抜きにしてしまいました。
今後の大会の対戦カードにも影響が出ているという話も聞きます。

しかし、僕はこれはRIZINにとって良い影響を与えると思っています。
正直、RIZINのバンタム級は若干マンネリ化しつつあるような嫌な予感がしていました。

堀口はあまりに勝ちすぎました。バンタム級の主力選手の多くがすでに堀口に敗北を喫しています。
元UFCファイターの佐々木憂流迦はまだ堀口との対戦経験はありませんが、堀口と闘って敗れている石渡に一本負けを喫してしまっています。
山本アーセンや中村優作は堀口とまだ差がありすぎます。

正直「誰が堀口に挑戦すれば盛り上がるのか?」という問いに苦しまざるを得ないような状況だったと思います。
しかし、朝倉兄弟がすべてをひっくり返しました。

今後のRIZINバンタム級戦線は、よりいっそう群雄割拠の状態になっていくと思います。

 

この朝倉兄弟には、RIZINに参戦している他の格闘家にはない魅力があります。
それは、「分かりやすいキャラクター」です。

格闘家としての強さは別して、その選手のキャラクター像は非常に重要だと考えています。

新生K-1は選手をキャラづけするために、様々なプロモーションを打っています。
芦澤竜誠はキックボクシングの実力には疑問符をつけられることもありましたが、「核弾頭」と名づけられた強烈なキャラクターは誰もが認めるところだと思います。
彼こそ、K-1のキャラづけプロモーションが見事に結実した最高傑作だと思います。

朝倉兄弟には、「ストリート出身」というあまりにも強烈なキャラクターがあります。
未来には「路上の伝説・兄」、海には「路上の伝説・弟」という分かりやすいキャッチコピーがセットになっています。

実際には、兄の未来は少年院に入れられるほどの不良でしたが、弟の海は不良ではありませんでした(笑)。
そして2人とも、禅道会という団体で空手を習っていました。禅道会は総合格闘技色の強い団体で、寝技対策などにも力を入れています。
石岡沙織、杉山しずかといった女子総合格闘家も輩出していますね。
朝倉兄弟は禅道会で格闘技を習い、「THE OUTSIDER」や「ROAD FC」といったプロモーションで活躍したのち、RIZINを主戦場にします。

しかし、RIZINはあくまでも「ストリート出身」という強烈で分かりやすいキャラクターをアピールしています。
そこはビジネスですから、当たり前の選択だと思います。

 

 

このような分かりやすいキャラクターは今のRIZINで本当に貴重です。

元谷、扇久保、石渡などは本当に強い選手なのですが、「強い」といういう以外にこれといったキャラクター像が見つかりません。

実際には、元谷は地方のジムに所属しながら世界の強豪と闘い続けるすごい男ですし、扇久保や石渡も紆余曲折のある格闘家人生を歩んできました。
みんな、ストーリーやキャラクターがないわけじゃないんです。ただ、それが少し伝わりにくいというか、分かりにくいところがあります。

あの堀口恭司でさえ、どこかの格闘技関係者が「堀口にはストーリーがない」と言い放ってしまったそうです。
それはその関係者が無知なのが最大の原因ですが、堀口のような素晴らしい格闘家でさえ、キャラクターやストーリーの確立が容易ではないということを示していると思います。

 

朝倉兄弟の分かりやすいキャラクターは、新規の客層をどんどんRIZINに呼び込んでくれると思っています。
あの分かりやすいキャラクターが「フック」となり、今まで格闘技に興味のなかった人も朝倉兄弟やRIZINに興味を持ってくれるハズです。
まずは興味をもってもらわないと何も始まりません。

そして、朝倉未来も朝倉海も、間違いなく強い選手です。
キャラクター確立には成功したものの、実力が伴わなかった格闘家たちとはワケがちがいます。
強いキャラクターとたしかな実力。この2つを兼ね備えている選手は本当に貴重な存在です。
キャラクターに引っ張られて試合を観てみたものの失望した、という心配は無用です。

未来も海もユーチューブチャンネルを持っており、登録者数も順調に伸びているようです。
これも新規のファンを獲得するのに、非常に大きな武器になるとおもいます。

圧倒的に分かりやすいキャラクターと自らの魅力を積極的に発信できるツール、そしてたしかな強さを兼ね備える朝倉兄弟。

彼らがRIZINに金の雨を降らせる日は近いと思っています。

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