杉浦貴 方舟のアラフィフ・チャンピオン

現在、プロレスリング・ノアのGHCヘビー級王座のベルトを巻いているのは、本日5月31日に誕生日を迎えた杉浦貴。何歳になったかというと、48歳だというからびっくりする。

杉浦はノア新世代である拳王からベルトを奪取し、世代交代を許さなかった。新潟で行われた初防衛戦では小峠篤司を撃破。つい先日行われた2度目の防衛戦では、全日本プロレスのチャンピオンカーニバルをも制した丸藤正道を退けた。現在の方舟の船長は杉浦だということになる。

個人的には、ノアは拳王や潮崎あたりの世代を中心に進めていくのではないかと思っていたので、杉浦が拳王からベルトを奪ったときにはかなり驚いた。それと同時に『まだ杉浦に頼るのか‥』という切ない気持ちになった。
杉浦は自衛隊の体育学校を経てノアに入団したため、デビューは30歳と遅い。小橋建太が言うには「(デビューが遅いから)年齢の割に身体が痛んでいない」ということらしい。しかし、杉浦がアラフィフであることには変わらない。若い選手に比べれば、体力の回復力やトレーニングの効果の出やすさなどでハンディがあるだろう。チャンピオンであるからには、年齢を言い訳にすることなど許されるワケもない。しかも杉浦は心臓に持病を抱えており、手術も経験している。無理をして、もしも三沢のようになったらどうしよう‥。そんな恐ろしい予感がわずかに胸をよぎった。

しかし、今の杉浦を見ていると信じられないくらい元気そうだ。記者のインタビューには下ネタを交えた相変わらずの杉浦節で応じ、ツイッターの更新もまめにやっている。そしてなにより、鍛えられた肉体の見事なこと。どれだけ節制すれば、あの年齢であの肉体を維持できるのだろうか?今の杉浦を見る限り、僕の心配は杞憂で終わりそうだ。

杉浦は多くのファンを惹きつける。だからこそ、かつてGHCヘビーを14度も防衛することが出来たし、拳王からのベルト奪取にも拍手が起きた。それも「杉浦は年なのに頑張った!」という拍手ではなく「杉浦やべえ!」という拍手である。なぜチャンピオン杉浦は支持されるのか。特にイケメンというわけでもない。アマレス仕込みの技は説得力はあるが、決して華やかではない。

完全に個人的な考えなのだけれど、ファンは試合を通じて『お前にも出来るよ』という激励のメッセージを杉浦から受け取っているのではないだろうか。『アラフィフで、デビューも遅くて、持病もあって、もうオッサンの俺でも闘えるし、勝てる!それなのにお前に出来ないことってあるのかい?』そんなメッセージを受け取ったファンが杉浦の試合に熱狂する‥。

ちなみに、こんなブログを書いているくせに僕は決して杉浦ファンだというワケではない。むしろ拳王がベルトを獲られたときは『内田(会長)はなに考えてんの?』とマジで怒りが湧いた。僕はまだ杉浦からの激励を受け取れていない。きっと、まだまだ苦労が足りないんだと思う。
僕が杉浦からの激励を受け取れるようになるまで、彼は現役でいてくれるだろうか?いや、きっといてくれる。お誕生日、おめでとうございます。

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